Wednesday, February 14, 2007

ソフトパワーとは?

「ソフトパワー」という概念はハーバード大学教授のジョセフ・ナイ(1990年)によって初めて提示されたという。「ある国が、自国の望むことを他国も望むようにさせることによって、望ましい結果を得る能力」で、特に重要なのは、文化や価値、イデオロギー等の魅力であり、国際社会における課題(アジェンダ)設定能力だという。

ソフトパワーとは、より微妙で間接的な力の行使の形態。たとえば、BがAにとって望ましい行動をとることが自らの利益になると考えて、自発的にそうする場合には、AはBにアメやムチを使って直接的にBに働きかけなくとも、自然に好ましい結果を得ることが出来る。

あるいは、Bが、Aにとって望ましい行動を促進し望ましくない行動を抑制するような規範や制度に従うことが自らの利益になると考え、自発的にそうする場合にも、Aは望ましい結果を得るために、ハードパワーを行使する必要がない。

ソフトパワーとは、「命令や強制によってではなく、自分の持つ魅力によって、そのような状況を生み出す力」のことだという。(ポストIT革命 ソフトパワー 日本の復権への道 竹中平蔵著より)

日本のソフトパワーって何だろう?
ある人は、日本の銭湯(温泉)文化やウォッシュレット文化がその一つだという。
これは、銭湯は見知らぬ人と並んで裸で湯船に浸かるという行為は単純だが、ここが日本らしさを感じさせているという。それは、単に風呂や温泉設備が整っているだけではダメで、比較的安全でそこにいる人達の信頼関係が保たれた公共の場と衛生を心がける姿勢、自然と身体についてのきちんとした考え方が欠かせないという。銭湯(温泉)に入った後は誰もが、何とも言えず穏やかでゆったりしたいい気分になる。清潔感と充足感から自然と気分が高揚し、心身共にリラックスした状態になる。

また昭和の時代(1926~1989)、トイレは地面に掘った穴の上にかがんで用を足す汲み取り式から「ウォッシュレット」まで進化した。コンピュータ制御されたビデ付き便器で、温水や冷水での洗浄、温風乾燥などの機能を備え、使用音を消すための効果音やMP3形式の音楽再生が出来るものまであるという。近い将来は、尿検査や妊娠検査機能も組み込まれるという。

ある技術が普及するまでの流れはさまざまで、自分たちの文化習慣を押しつけることもあるが、魅力的で選ばれていくような力は、即ちソフトパワーだ。

日本に住んだある外国人がなくてはならないと思うものに銭湯の文化とウォッシュレット文化だという。(銭湯とウォシュレットにみる日本の「ソフトパワー」より)

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