Thursday, November 15, 2007

$100/バレル原油とポスト議定書

2007/11/09HNKラジオ ビジネス展望~日本総合研究所会長寺島実郎氏の「$100原油とポスト議定書」なるテーマで主張がされていた。非常に興味深く聞いた。概略内容は次のようなことであった。

原油価格がここ6年間のうちに3.5倍(NY取引で$27/バレル→$97/バレル)になった。この原因は石油消費による受給逼迫だけでは説明できない。この6年間にそれ程の需給のギャップが出ているかというとそれほどは生じていない。ロシアにあっては天然ガス等の生産も出てきているし、必ずしも今の原油価格になるような受給逼迫の事態にはなっていないという。

確かにBRICS特にC:中国とI:インドなど新興国の台頭により原油消費の拡大は急増している。中国は日本を抜いて世界第二位の石油消費国になっている。一方では生産の不安定化も世界の各地に存在している。

アメリカのWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト:West Texas Intermediate)は、アメリカ合衆国南部のテキサス州を中心に産出される原油市場であり、アメリカ国内で産出される原油の6%・世界で産出される原油の1~2%程度しかない。

しかし、実際のWTI一日当たりの産油量は100万バレル程度でここでの一日当たりの先物取引量は3億バレル/dayにもなるという。なんと300倍の取引量となっている。これは過剰流動資金が流れ込んでコンピュータ上でマネーゲームが行われているいるとしか考えられないという。

これら投機的なものを控え目に見ても$20/バレル、あまく見ると$50/バレルもあるのではないかという。これは現状の$100/バレル原油の20%~50%に相当する分が投機資金により価格高騰に繋がっていることになる。

一方、今月末から来月12月にかけてインドネシア・バリ島で国連気象変化会議では京都議定書以降の大きな第一歩COP13に繋がる会議が予定されている。2008年からは京都議定書COP3の実践が求められている。しかし、上記会議では日本もイニシアチブを表明しているようにCOP3を遙かに上回るCO2削減が想定・要請される。

来年以降はこれらのことからいよいよ現実問題として$100/バレルを念頭に産業構造、生活構造の大転換を図らなければ極端なCO2削減は出来ないという。

これらのことを考えると地球環境の維持と我々の産業活動をいかに共存させながらエネルギーを使い、平和で且つ安定した住みやすい生活をしていくのかというところにもう少し国民の目を向かせる努力が必要な気がする。そのためには我々一人一人がもう少しエネルギーの使い方、地球(環境)の持続的な発展が可能な生活の仕方について勉強をしていくことを通じて地球の危機に対する共通認識を持つ必要がある。

更に11/14のビジネス展望で財団法人日本エネルギー経済研究所十市勉氏によるとWTI市場での取引は2007/10月現在4億8000万バレルの取引量となっているという数字もある。これは使用量の6倍で取引割合では世界の70%を超えているというものすごい数値もあるようだ。
14兆円~15兆円の市場にはソブリン債( 各国の政府や政府機関が発行する債券の総称)も流れ込んでいるという。我々が目指す技術立国・もの作り立国などといって堅実に汗したお金で暮らしを楽にするなんてばかばかしくなってくるような濡れ手に粟の世界が幅を利かす社会がグローバルスタンダードなのか?

Monday, November 12, 2007

相対的貧困率の増大

読売新聞は11月7日の朝刊で3つの提案を行っている。

1.政府は貧困基準を作り、実態の把握を
2.福祉と就労などの連携で適切な支援を
3.貧困につながる社会的排除を防ごう

記事によると
所得の高い人と低い人を並べた場合に、ちょうど真ん中になる人の所得から見て、その所得の半分(50%)の所得が貧困ラインとして設定され、それ以下の所得の人の割合だという。貧困ラインには、健康で文化的な生活を送るに必要な最低額を割り出す、絶対的貧困という概念もある。国・地域によって物価や文化が異なるため、国際比較では相対的貧困率が用いられる。

2000年OECDが調査できた17カ国の統計を元に集計したところ、日本の相対的貧困率はワースト5に入っていて米国13.7%に次いで第二位13.5%を占めているという。
3位:アイルランド11.9%
4位:イタリア11.5%
5位:カナダ10.3%

日本は所得分配率が高く、皆が中流という神話は既に過去のものになっている。これは高度成長期に食うや食わずで働けば豊かになれるといった中流意識が貧困を遠いものとしてきた。
国民の貯蓄率ゼロ世帯(厚生労働省と金融広報中央委員会の調査結果による)が1990年頃から徐々に上昇し2005年は22%程度にまでに上昇している。それと相重なるようにして自殺者が増え続け2003年には3,400人台になっているという。自殺率の国際比較でも上位に位置している。

貧困対策が遅れている理由は、政府は実態を直視せず、実態さえ分からない。見えない貧困こそが問題だと慶大教授駒村安平(社会政策論)はいっている。貧困対策が遅れている第一の理由は、貧困状態にある層を把握する手段がないこと。欧米では独自に基準を設けているという。具体的なデータを元に、人生のどの段階で貧困に陥りやすいのか、何が貧困の原因になるのかを調べ、対策を講じるべきという。

貧困対策の最大の課題は、生活保護世帯の外側に存在する、保護ぎりぎりの層への支援が欠如していることだという。岩田正美・日本女子大教授(社会福祉学)は貧困の背景には、本来の社会的なネットワークから外れてしまう社会的な排除がある。見えない貧困層を支援するには、きめ細かい対策を講じ、排除防止を目指すべきという。低収入でアパートも借りられない、社会保険にも未加入で医療機関受診も出来ない。

どこの国でも自国の貧困率が高く報道されることを好まない。政府の政策失敗の烙印を押されるのを嫌う。国内市場を支えていた分厚い中流層の崩壊による、日本企業の国際競争力の低下も懸念材料だという。自助努力をするのを助けるだけではなく、包括的な貧困対策の最高が急務だという。
(以上読売新聞より抜粋引用)

日本の国を敗戦のどん底から復興に力を注いだ人達及びその後の我々国民一人一人が、安心して心豊かに暮らし高齢・終末を不安なく迎えられる人はどの程度になるのだろう。やはり未来に希望が見いだせる社会にしていくことが是非とも必要である。そのためには、一国・一県・一市町村の長・議員も含めて魅力ある継続可能な施策を実態を丹念に調査・掌握し役所や官僚の机上ワークの言いなりではない事実に基づいた対策を掲げ実践していくべき人に期待をかけるべき時で惰性からの脱出が必要である。ここは選挙民の責任ということになる。そのためにももう少しメディアの出番が期待される所であるがこれがなかなかといった状況にある。国民年金等を含めた社会保障が話題になると必ず財源問題が出てくるが、国・地方を含めた約800兆円の借金地獄のツケがいつまでもつのか・続くのかも心配だ。
本来格差が出ない社会構造に気配りをすることで国民一人一人が存在感を示せるのに、その機会を生かせない社会構造やあり方が問題であると思っている。どこもかしこもグローバル競争の世界の中に入ることばかりに汲々とすることはないものと思える。世界の中でも特に北欧などユニークな国が幾つも存在する。

がんばれ新潟応援ツアーに参加



11月10~11日に新潟県中越沖地震の震災後の復興応援のための「がんばれ新潟応援ツアー」に参加した。新聞テレビ等では一過性的に大騒ぎをして報道するが地道な応援に繋がる報道等はなかなか見あたらない。

発生直後は観光産業に携わる人達も含めてキャンセルが相次いで大打撃を受けたことが相当報道されていた。今回は観光産業のお役に立てればという個人的な理解で我々も楽しみながら一石二鳥の感で参加した。

最初は東北電力ビッグスワンスタジアムの「FC東京対アルビレックス新潟戦」、翌日は宝山酒造、弥彦神社、寺泊海産物ショッピングなど宿泊とショッピングなど結構楽しめた。

幸いビッグスワンでのサッカー観戦は雨から免れたが、弥彦神社と寺泊海産物ショッピングは結構な雨に遭遇してしまったがまあまあ楽しめたような感じがする。

新潟交通のガイドさんもこれに懲りずにまた美味しいお酒、美味しい料理、暖かな出迎えでお待ちしていますとの挨拶で美味しいお酒をお土産に長岡から新幹線で戻ってきた。

新潟県はまず日本酒が美味しい、海の幸、山の幸も美味しい、人も親切で今度はスキーにでも行ってみたいと思っている。

Friday, November 09, 2007

フーテンの寅さんの柴又へ



文化の日にかこつけてフーテンの寅さんの故郷柴又を訪れた。実はここにある山本邸を家内が見てみたいという。庭園が綺麗だということで早速行ってみた。

京成本線京成高砂で乗り換えて京成金町線柴又駅を降りると写真のような寅さんの銅像が建っている。懐かしい装いであった。寅さんの映画は何回となく見てなかなか人情味あふれる渥美清と倍賞千恵子の演技力には感心をしてみていた。

柴又駅から10分足らずで山本邸に辿り着く。入ってみるとさほど大きい邸宅ではないが、結構なお客さんで混雑していた。

早速中に入って一通り見学した後、お三時がてらお茶でも飲みながら庭園を眺めてみることとした。庭園は綺麗に手入れされ菊が丁度良い具合に咲いて秋の景色をいっそう引き立たせていた。やはりこのような屋敷は何となく心を落ち着かせてくれる。

邸内にはここの庭園はJOJG(Journal of Japanese Garden)により数年連続で日本の名庭園の3位に入っているという新聞切り抜き記事があった。一位は足立美術館、二位は桂離宮で三位が山本邸(参考2005年の記事)だという。記事にもあったが上位との落差がどの程度あるのか分からないがちょっと意外な気もした。日本の三名庭園(兼六園、後楽園、偕楽園)などとは違うようだ。

Monday, November 05, 2007

フランス・イタリア(3)



ヨーロッパ観光の中で驚くものの一つに歴史的な建造物が至る所にあることで、我々日本人にはその建物の歴史的重みと物理的な重厚感がマッチングして何とも魅力的な感じに映る。
ヨーロッパを訪れるのは今回で4回目だったが何時行ってもその建物の重厚感は凄く魅力的に感じる。
今まで全く頭の中に入っていなかったが、ローマ市内のCATACOMBE(カタコンベ:キリスト教徒の地下墓地)とそれとは別にローマから少し離れた所にオルヴィエート(ORVIETO)という街があり車で1時間半くらいかかるが、ORVIET UNDERGROUND(オルヴィエート地下都市)を観光できた。

ローマ市内のCATACOMBEでは英語ツアーに参加したがインド系の訛りの強いガイドで殆ど聞き取れず理解が進まなかったが、3世紀はじめ頃の地下通路(墓地)建設は、今でこそ簡単と思うが当時は大変だったものと思われる。その地下通路カタコンベの発見は1593年であるが、1800年になってやくその目的が考古学者により判明したという。その後多くの地下墓地発見と続いたという。その地下墓地といっても巨大な迷路でこの地下状況は10数キロメートルも続いてるもの、地下深部へ2階建て一部に3階建てに延びているものもあり、ローマ市内にCATACOMBEが至る所にあるという。何故だという気にもなるが、キリスト教徒と異教徒が同じ墓地に埋葬されるなどローマに続く街道に沿って置かれたが、地上の土地が不足するに至り死者を埋葬する地下墓地が掘られるようになったという。行ってみてみないと地下階層やその迷路ぶりは分かりにくい。

一方、オルヴィエート観光ではドウオーモや美術館の他、3000年位をかけて作られた古代地下都市(underground)を見学した。これも無数の地下洞窟が縦横に連結されていて驚きに値する。生活のための食物等貯蔵所(地下温度は年間を通じてほぼ一定)や鳩舎、地下での深井戸など当時の人々のトンネル掘削技術もさることながら、知恵にも驚嘆する。地下での深井戸掘削時には20~30メートルも掘ると酸素不足となるため’ふいご’なるものを使って酸素を地下深くまで送り込んだり、せいぜい1m弱の四角形をした井戸を掘削するため出入りするステップ作りなどなかなか手が込んでいるし知恵を使っていることが分かる。また、食料確保のための地中(地下)鳩舎から地上への出入り口を南側斜面に設け、その鳩舎なるものが何十メートルも続いているという。これが何に使われたか聞かれた際の答えとして、まるでアメリカ風のポストオフィスである。
このように当時使われていたものそのものが損なわれずに今も見られる。時間がある方は訪れてみることをお薦めする。但し、通常では日本語ガイドはないようでイタリア語とその他の中に英語ツアーがある時間毎に組まれているようである。
日本の旅行社でのツアーはあるのではないかと思われるが、調べたわけではないためあしからず。

今回フランス・イタリアを旅行して日本と違うなと思ったところはいくつかあるが、フランスもイタリアもやはりチップが何ともよく分からない。宿泊はフランスでは所謂プチホテルという感じのホテルに宿泊したが朝食のパンがとても美味しく食べられた。それとは対照的にローマでの朝食時のパンはこってりした甘さのパンだった。食事は、フランスもイタリアも思う存分というくらいワインを飲み、パリ・マリーアジュ・フレール(MARIAGE FRERES)で紅茶タイム、イタリアではピザやパスタを十分堪能できたエスプレッソも美味しく頂いた。食後のデザートの大きさやボリュームには驚く。フランス・イタリアとも拙い英語でも何とか楽しめた。イタリアでのEUROSTARでは改札がないのが何とも日本人には奇異に感じて戸惑った。
パリもローマも世界の人々を惹き付けるに値する観光地としてあることは間違いなく、日本の東京とは大分その趣を異にしている。ちょっぴり寂しいと思ったことはユーロ高で我が日本円の価値が下がっていることだった。