Saturday, October 07, 2006

福島県知事道義的責任で辞職というが

福島県談合「公共調達システム刷新を」(郷原 桐蔭横浜大学教授)の記事が朝日新聞に掲載されていた。福島県知事の辞職に結びついた実弟の談合罪共犯容疑での逮捕が、地方公共工事を巡る談合構図全体に大きな影響を与える可能性があるというが本当か?という感じをもつ。

高度経済成長期に公然と業界業者間の話し合いで受注者を決める方式が行われていた。90年代は、独禁法の制裁強化もあって会合型から密やかに個別情報交換方式に談合システムが変化したが、それが摘発されたのが大手ゼネコン汚職事件。独禁法課徴金や指名停止に加え、刑事事件での摘発の脅威にさらされたことが摘発されにくい形態への談合システムの進化に繋がったという。

受注者が特定の人物の意向や業界会合決定のような明確な形で決まるのではなく、情報交換による受注希望者の調整や有力者の意向伝達などを通して関係者で徐々にコンセンサス形成がされるという曖昧な経過で決まっていく構図にある。このような構図の中で、対価としての金銭授受があったとしても職務権限との関係が希薄なので贈収賄の構成も困難。そうした有力者の談合システムへの関与をあえて談合罪の共犯と捉えて逮捕に踏み切った今回の検察の判断は相当思い切ったものだという。

ここで「有力者の意向伝達などを通して徐々にコンセンサス形成がされると」というが、実態はそんな生ぬるいものではなく、天の声としての威厳・威光が関係者に強力に伝わっていると考えざるを得ない。

上述のような談合罪共犯の適用が一般化されると大手ゼネコンなど建設業界の談合構造が一気に崩壊に向かうとも考えられるというが本当か?かつては経済的社会的機能も果たしていた談合システムは右肩上がりの終焉とともにその機能を徐々に喪失し、非効率性、不透明性、癒着・腐敗などの弊害が顕在化し、種々の規制をかいくぐり、より巧妙し続け、相も変わらず癒着・腐敗の弊害がより鮮明に映ると感じる人は多い。

しかし、これまで違法行為・犯罪として制裁・処罰ばかりに終始してきたため、談合システムに代わって、品質が高く安全性の高い社会資本の整備を可能な限り低価格で提供するシステムの構築は著しく立ち遅れている。談合の制裁・処罰ばかりに関心を向けるのではなく、官民挙げて新たな公共調達システムの構築に取り組むべき時期に来ているという提言はその通りだと思う。ここで良識あるマスメディアを標榜する新聞・テレビ業界は、世界のいいとこ取りでもいい、これらの情報をもっと提供すべきと考える。

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