Friday, August 03, 2007

逆転参議院を聞く-「安倍不信任」そのものを読んで

2007.07.31の朝日新聞朝刊に蒲島郁夫・東大教授(政治学)の論評が出ていた。

(1)何故自民は大敗したか
経済発展の果実を、公共事業や農産物保護の形で農村部に分配してきた自民党の伝統的システムが小泉前首相によって壊され、それに対する業績評価を阿部首相が受けたことにある。・・・
安倍首相自身は、市場主義というよりも伝統的な自民党のシステムに乗ってきた人だが、都市部の有権者の支持を求める方向に変わって行かざるを得なかった。けれど都市部の有権者からみれば首相の改革は小泉氏に比べて不十分で、農村部からは伝統を壊した小泉さんと同じに見え、双方の有権者からの支持を失った。

(2)民主党の勝因は
小沢代表が農家への戸別補償という直接的なメッセージを送ったのが農村部の指示をもらった。更に民主党には年金の長妻昭氏のような政権党の問題点を厳しくチェックするという野党の役割に徹して、ヒットを打てる人が出てきた。それが全国的な雪崩現象につながった。

(3)有権者の側に変化はあったか
都市部の無党派層が投票に行った。この結果、公明党と自民党の組織票が埋没した。

(4)有権者の投票行動は
旧来型の組織にとらわれず、情勢調査にも関心を持つ無党派層が増えてきた。

(5)民意を政党はどう受け止めるべきか
政権の業績評価的な部分があるうえに、衆院に比し候補者と有権者の関係が遠いことから、その分党首や党への評価が直接結果に反映しやすい。

(6)それでも首相は続投の意志を示した
首相は信念の人とのイメージを持っていた人が多かった。しかし、意外と政権にしがみつく人なのだというイメージがついてしまった。若くして選挙の顔として登用された首相だが、結果的にその役割を果たせなかった悲劇がある。また、続投を簡単に許す自民党にはかつての活力が感じられない。

(6)民主党はどう行動すべきか
参院選で公約したことを、財源も含めて具体的な法案にし、衆院に突きつけることが出来るかどうか。

簡略化したが、上記のような内容を非常に分かり易く論評していて具体的だ。私は特に(1)の「小泉改革に比べて不十分では・・・」の部分は全面的に賛同する。(郵政民営化反対組の取込、政治資金の不透明さをかばい続ける、社保庁改革、教育再生会議での指導力・・・)
(6)の大敗でも続投を簡単に許す自民党の活力の問題などもう少ししっかりして欲しい。
一方民主党の長妻氏の役割は非常に大きかったし、このような議員にエールを送りたい。

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