Monday, November 12, 2007

相対的貧困率の増大

読売新聞は11月7日の朝刊で3つの提案を行っている。

1.政府は貧困基準を作り、実態の把握を
2.福祉と就労などの連携で適切な支援を
3.貧困につながる社会的排除を防ごう

記事によると
所得の高い人と低い人を並べた場合に、ちょうど真ん中になる人の所得から見て、その所得の半分(50%)の所得が貧困ラインとして設定され、それ以下の所得の人の割合だという。貧困ラインには、健康で文化的な生活を送るに必要な最低額を割り出す、絶対的貧困という概念もある。国・地域によって物価や文化が異なるため、国際比較では相対的貧困率が用いられる。

2000年OECDが調査できた17カ国の統計を元に集計したところ、日本の相対的貧困率はワースト5に入っていて米国13.7%に次いで第二位13.5%を占めているという。
3位:アイルランド11.9%
4位:イタリア11.5%
5位:カナダ10.3%

日本は所得分配率が高く、皆が中流という神話は既に過去のものになっている。これは高度成長期に食うや食わずで働けば豊かになれるといった中流意識が貧困を遠いものとしてきた。
国民の貯蓄率ゼロ世帯(厚生労働省と金融広報中央委員会の調査結果による)が1990年頃から徐々に上昇し2005年は22%程度にまでに上昇している。それと相重なるようにして自殺者が増え続け2003年には3,400人台になっているという。自殺率の国際比較でも上位に位置している。

貧困対策が遅れている理由は、政府は実態を直視せず、実態さえ分からない。見えない貧困こそが問題だと慶大教授駒村安平(社会政策論)はいっている。貧困対策が遅れている第一の理由は、貧困状態にある層を把握する手段がないこと。欧米では独自に基準を設けているという。具体的なデータを元に、人生のどの段階で貧困に陥りやすいのか、何が貧困の原因になるのかを調べ、対策を講じるべきという。

貧困対策の最大の課題は、生活保護世帯の外側に存在する、保護ぎりぎりの層への支援が欠如していることだという。岩田正美・日本女子大教授(社会福祉学)は貧困の背景には、本来の社会的なネットワークから外れてしまう社会的な排除がある。見えない貧困層を支援するには、きめ細かい対策を講じ、排除防止を目指すべきという。低収入でアパートも借りられない、社会保険にも未加入で医療機関受診も出来ない。

どこの国でも自国の貧困率が高く報道されることを好まない。政府の政策失敗の烙印を押されるのを嫌う。国内市場を支えていた分厚い中流層の崩壊による、日本企業の国際競争力の低下も懸念材料だという。自助努力をするのを助けるだけではなく、包括的な貧困対策の最高が急務だという。
(以上読売新聞より抜粋引用)

日本の国を敗戦のどん底から復興に力を注いだ人達及びその後の我々国民一人一人が、安心して心豊かに暮らし高齢・終末を不安なく迎えられる人はどの程度になるのだろう。やはり未来に希望が見いだせる社会にしていくことが是非とも必要である。そのためには、一国・一県・一市町村の長・議員も含めて魅力ある継続可能な施策を実態を丹念に調査・掌握し役所や官僚の机上ワークの言いなりではない事実に基づいた対策を掲げ実践していくべき人に期待をかけるべき時で惰性からの脱出が必要である。ここは選挙民の責任ということになる。そのためにももう少しメディアの出番が期待される所であるがこれがなかなかといった状況にある。国民年金等を含めた社会保障が話題になると必ず財源問題が出てくるが、国・地方を含めた約800兆円の借金地獄のツケがいつまでもつのか・続くのかも心配だ。
本来格差が出ない社会構造に気配りをすることで国民一人一人が存在感を示せるのに、その機会を生かせない社会構造やあり方が問題であると思っている。どこもかしこもグローバル競争の世界の中に入ることばかりに汲々とすることはないものと思える。世界の中でも特に北欧などユニークな国が幾つも存在する。

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