Tuesday, May 22, 2007

山崎正和氏の地球を読む

読売新聞2007.05.20掲載の「山崎正和氏の地球を読む」を読んで
タイトルに「職業の権威と責任」、「プロを敬う社会に」、「素人優位の風潮 根深く」があり、今の社会状況の一端を指摘していて同感する部分もある。ここで少し物足りなさを感じるのは、ではどうすべきかというところが余りにもあっさりしすぎている。実は何がそうさせてきたのか、そうなってしまったのかが一番の関心事である。原因が分からなければ対策の取りようがないことは明らかだから。

内容として次のような例を挙げている。
・電車の踏切に飛び込み、迷い込んだ女性を救出し自分は殉職した警察官
・親の執拗な責任追及により自殺した小学校の校長
 (報道で避難されるのは教師だけの姿)
・病院不祥事の報道が氾濫する中で医師の士気と使命感の低下
 (インフォームドコンセントが権威と責任を放棄し始めている) 
・官僚バッシング(正確なデータ対応で素人の怒り声)
・政治家(政治のポピュラリズム化)

この中でいくつかの言葉が出ているがこれらを並べると何か見えてくる気もしないではない。
・権威と権限・権威と責任感
・自己犠牲と尊敬
・社会の規範
・惻隠の情
・ノーブレス・オブリージュ(高貴なるものの責任)の低下
・自尊心
・矜持と勇気
・居丈高な親
・低頭する教師
・親の保護責任
・教師の責任
・教師の尊敬
・人知の伝統
・プロフェッショナリズム破壊
・専門性軽視
・素人優位
・医療訴訟
・患者さま
・・・等々

最後に「社会の倫理性を自然に高めるためには、人が職業人の誇りを抱き、結果として「恥を知ること」が第一である。その際、「高貴なるものの責任」は本人がまず自覚するのが当然だが、この自覚はその高貴さを社会が敬うことで支えられている。・・・社会をあげて彼らの実像を讃え、一層の使命感へとおだて上げる道はないものだろうか」という点に関して「高貴さを社会が敬うことで支えられている」には同感するが、締めくくりとして何とも空しさを感じざるを得ない。

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